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宵闇
第6章 揺れる
そしてそれは昼休みのときだった。
「桜井~。先輩呼んでる!」
クラスメートに言われて廊下に目を向けると、蓮先輩が教室に背を向けて立っていた。
顔が強張るのがわかる。
思わずついた溜め息。
だってまだ、会いたくなんかなかった。
心の整理なんて全然ついてない。
どんな顔をして会ったらいいのか、何を話せばいいのかわからない。
……でも、こんなふうに来られたら、会わないわけにはいかないだろう。
「大丈夫?」
私の様子に気づいたのか、加奈が声をかけてくれる。
「……ん。ちょっと行ってくるね」
意を決して席を立ち、先輩の方へと向かった。