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宵闇
第6章 揺れる
……伝わらない。
なんで? なんで伝わらないの?
ただ、私の気持ちがそう思えるまでは待ってほしかった──そう言ってるだけなのに。
「……っ、く……」
どう言ったら伝わるのかもうわからない。
もどかしくて、さらに涙がこぼれた。
「先輩……お願い……」
話を聞いて。
ちゃんと、私の話を聞いて。
「先輩のこと好きじゃないとか……そんなふうに勝手に決めつけないで……!」
たまらず、両手で顔を覆った。
涙が手のひらを濡らす。
先輩は何も答えない。
……結局、私が悪かったんだろうか。
私のそういう態度が先輩を追いつめてて、だから先輩はあんな強引に私を?
「ごめんなさい……」
頭の中をいろいろな思いがぐるぐるしてたけど、口から出た言葉は、結局それだけで。
「ごめんなさい先輩……私が先輩を傷つけてたなら謝るから……!」
……そう口にしたら、きっとそうだ私のせいなんだ、とそんなふうに感じた。
私がもっとちゃんとしてたらこんなことにはならなかった。
ちゃんと思いが伝わるようにしていたら先輩が不安になることもなくて、あんなふうに無理矢理されることもなかった。
私が……そう全部私が悪かったんだ────。