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宵闇
第7章 眩暈

──もういい。
「わかった」
私は、それだけを告げた。
起き上がり、服を身につける。
先輩はそんな私をずっと見ていた。
「……ばいばい」
鞄を手に、そう言って部屋を出ようとした私の名前を、先輩が呼ぶ。
立ち止まった私の背中にかけられたのは
「俺に少しでも気持ちあった?」
そんな言葉だった。
最後まで私だけのせいにするつもりなのかな──そんなふうに感じ、もういいと断ち切ろうとしたはずの関係にまたしても虚しさと哀しさが沸き上がり、頭の中をぐちゃぐちゃにかき回す。
「……先輩こそ私のことほんとに好きだったの?」
振り向いて、反対にそう聞き返した。
でもどんな答えが返ってきたとしてももう今さらなんだとも思う。
黙ったままの先輩に再度背を向け、結局私はそのまま部屋を出た。

