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宵闇
第7章 眩暈
──そして急に覚えた、めまい。
立ち止まり、よろけるように膝をついた。
さっきさんざん突かれた下腹部が、ずきんと痛む。
「……ほんと、ばっかみたい」
めまいがおさまったあと、また口をついて出た自嘲の呟き。
あのとき別れていれば、それが一番よかったのかもしれない。
そうすれば、感じる苦しさも、少しはまだましだったのかもしれない。
ちゃんと考えずにずるずると続けてしまったその結果が──これだ。
「……っ」
こみ上げてくる感情を、必死に押し止める。
大きく吐いた息は震えている。
でも、少なくともそのときの自分はそのときの精一杯で考えた。
先輩のことを好きだと思ったし、先輩のためにちゃんとしようとも思った。
それは嘘じゃない。
……嘘じゃなかったはずだけど────。
私の言葉は伝わらないし、先輩の言葉も私にはわからないことだらけで、最後まで噛み合わないままこんな形で終わってしまった。