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宵闇
第8章 三年後
お父さんが帰ってきて、久しぶりの四人そろった食事の時間は本当に賑やかだった。
お父さんも、ママも嬉しそう。
もちろん、私も嬉しかった。
──そういえば。
「ねえ、葉月くんの荷物っていつこっちに届くの?」
今日は届かなかった……ってことは明日?
「あ、僕はここには住まないんだ」
「え?」
思わず、横に座っている葉月くんを見る。
「アパート借りたんだよ。
会社に近い方が何かと便利だからね」
そうなんだ~、と呟いて
「私、ここに戻ってくるんだとばっかり思ってた……!」
そう続けると
「でも琴音ちゃんのアパートからはここよりそっちの方が近いよ」
にこりと葉月くんが笑った。
「そうなの?」
「うん。だからいつでも遊びに来て?」
「あ、うん! 行く行く!」
そんな会話を交わしながら私は、葉月くんがそこにいてくれることが本当に嬉しかった。
「ねえねえ、あとで葉月くんの部屋に行っていい?
話したいこといっぱいあるの!」
「そうなの? 楽しみだな~」
テンションも高くなり、自然に顔も笑ってしまい
「琴音、今日ははしゃいでるわね~」
そんなふうにママに言われるぐらいだった。