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宵闇
第9章 溶ける
「琴音ちゃん、シャワー使うでしょ?」
「あ、うん! ありがと~」
「着替え、ないよね? これでよかったら着て?」
そう言って渡されたのは、葉月くんのTシャツとハーフパンツ。
さっきコンビニに寄ってもらったから下着とかそういうのは買えたけど、さすがに着替えまではないし、ありがたく借りることにした。
「絶対ぶかぶかだよね」
「だろうね」
ははっ、と笑われる。
「でもほんとごめんね、突然。寝るときソファー貸してね」
「僕がソファー使うから、琴音ちゃんはベッドに寝なよ」
「え、いいよー!」
慌てて首を振る。
そんなの申し訳なさすぎる!
「だめ。いやなら泊めないけど?」
コーヒーをいれながら、横目でちらっと私を見てにこっと笑う葉月くん。
「……う」
泊めてもらえないのはとっても困る。
「決まりね」
何も言えない私はそう告げられて、はい、と答えるしかなかった。
……葉月くんは私を甘やかす天才だなあ、とそんなふうに思いながら、コーヒーをいれるその動作をぼーっと眺める。