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一夜の愛、人との愛
第10章 透明な選択
真理亜の挑むような視線が、純白の天使の蒼い眼差しとぶつかる。
祈りにも似た、その瞳の意志を受け止めて、天使は動じることなく彼女を見返した。
「マリアさん、何を…」
「神格長様、大変申し訳ございません」
同じ血を分け合う天使が、すかさず頭を下げる中、神格長たるイエナリアだけは真理亜に微笑んだ。
真理亜だけに、その優しい笑みを見せつつ、一度スッと右手を下げると、徐ろに口を開く。
「構わぬ。所詮、失う記憶ならば、胸のつかえをとってから、全てを精算するのも良いでしょう」
2人の天使に顔を上げるように命じると、イエナリアは足元のローブを片手で掴み、1歩下がった。
「クレイル」
「……はい」
エデンを統べる者の言葉に、クレイルが難しい顔のまま1つ頷き、真理亜へ身体を向けた。
「この男は、人間の世界に、無断で干渉したのです」