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一夜の愛、人との愛
第10章 透明な選択


ステンドグラス越しに差し込む空の色が変化しているようだ。
床の光が柔らかく動いて、色合いを変えて見える。



暫く沈黙した後に、イエナリアが再び口を開いた。



「コーラル」



「はい」



神格長の指示で、コーラルが真理亜から身体を離す。



小さな声で「大丈夫ですか」と尋ねた天使に、真理亜は返事もしないまま、床の1点を見つめている。



「マリア、気持ちが決まったら顔を上げてください」



白い天使の言葉に、真理亜は1つ深呼吸してから、顔を上げぬまま口を開いた。



「神格長様。……私、決めました」



イエナリアの、柳のように美しい形の眉が、小さく持ち上がる。



真理亜が静かに顔を上げる。










「私、この人を訴えません。だから、この人を消滅させないでください」










その言葉に、ザレムが俯いたまま、目を見開いた。



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