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一夜の愛、人との愛
第11章 束の間の安寧

「ちょっと、クレイルさん! 覗かないでって、言ったじゃないですか!」

慌てた真理亜が水の中に腰を降ろし足を引き寄せる。

小さくなる真理亜に、クレイルが申し訳なさそうに顔を歪めながらチェイスの首根っこを掴んだ。

「申し訳ありません。この半人前が凄い勢いで飛び込んできて」

「え、俺のせい? だって、すげー綺麗な音が聞こえたからさ!」

「お前、今日の"オンサラス"の講義は、どうした」

「抜けてきちゃった。ほら、俺って耳がいいからさー」

「な…、んだと」

チェイスの脳天気な返しにクレイルの額に青筋が浮かびそうになっているが、真理亜にとっては、それは問題では無い。

「あのー・・」

「お前は、そんな態度だから半人前から抜け出せないんだ!」

「それは関係ないじゃん。時期が来たら羽は生え変わるって、セルティエルも言ってたし?」

「あのー・・・・」

「セルティエルじゃない、セルティエル"様"だ! 大体、お前は俺に対する態度もなってない」

「なんだよ。コーラルとか気にしないで喋ってくれるけど?」

「弟は、まだ一人前の天使では無い。お前は、それがアイツの優しさだと気付いてないのか?」




「あのー!!!!」




真理亜の大声に、空中で言い合いをしていた天使がハッとして同時に振り向く。




「なんでもいいんで、上でやってください!」





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