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一夜の愛、人との愛
第12章 穢れた天使は夢を見る
「……」
暫く、ぼんやりと天井を眺めてから、小さく溜息をついて、彼は再び視線を床に戻す。
考えたところで、あの女の言葉は思い出せないし、不可思議なヴィジョンの実態が掴めないのは子供の頃から分かっていることだ。
それにしても、座りっぱなしで身体が痛い。
自分達の身体は痛みに耐えることは出来るが、痛みを完全に消し去ることは出来ない。
(半人前だからか?)
強張った翼を軽く広げると、乾いた血のついた羽が擦れて、かさついた音を立てた。
翼が生え変わって、完全な天使になったら、痛みを意識から完全に切り離せるのだろうか。
尋ねてみたいと思うものの、幼い頃から気負いなく喋ることが出来た相手は、既に自分とは違う立場になっている。
大体、あの銀髪の旧友に尋ねてみたところで、いつ自分の翼が生え変わるか分からないのだから、気休めにしかならない。
(いや、違うか)
そこまで考えて、ザレムは苦笑して翼を緩く閉じる。
何を考えたところで、自分の翼は黒く染まっている以上、天使になれるわけが無い。
そんなことを考えるだけ、時間の無駄だ。
恐らく、全ては明日決まり、明日終わる。
暫く、ぼんやりと天井を眺めてから、小さく溜息をついて、彼は再び視線を床に戻す。
考えたところで、あの女の言葉は思い出せないし、不可思議なヴィジョンの実態が掴めないのは子供の頃から分かっていることだ。
それにしても、座りっぱなしで身体が痛い。
自分達の身体は痛みに耐えることは出来るが、痛みを完全に消し去ることは出来ない。
(半人前だからか?)
強張った翼を軽く広げると、乾いた血のついた羽が擦れて、かさついた音を立てた。
翼が生え変わって、完全な天使になったら、痛みを意識から完全に切り離せるのだろうか。
尋ねてみたいと思うものの、幼い頃から気負いなく喋ることが出来た相手は、既に自分とは違う立場になっている。
大体、あの銀髪の旧友に尋ねてみたところで、いつ自分の翼が生え変わるか分からないのだから、気休めにしかならない。
(いや、違うか)
そこまで考えて、ザレムは苦笑して翼を緩く閉じる。
何を考えたところで、自分の翼は黒く染まっている以上、天使になれるわけが無い。
そんなことを考えるだけ、時間の無駄だ。
恐らく、全ては明日決まり、明日終わる。