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一夜の愛、人との愛
第13章 金の拘束

(やだ)

どうやって、吐き出せばいいのか、知らないわけじゃない。
昨晩、散々、吐き出して、乱れて、啼いた身体だ。
どこが感じて、どこが気持ち良くて、どこで濡れるか、鮮明な記憶が、震える指先に淫らな意志を持たせようとしてくる。

「……」

一瞬、岩壁の奥側に視線を走らせる。
俯いているのであろう虜囚の天使はぴくりとも動かずに黒い塊になっている。


(あ…っ)

服に手をかける自分に気づかれたくなくて盗み見たはずだった。
それなのに、彼の様子を窺った瞬間、不意に、ザレムの肌に触れた時の、あの温もりを思い出し、腰が震えた。

その動きで、ナイトウェアに触れる身体が、じっとり濡れていることを思い知らされる。
自分の身体だから気付く。
脚の付け根、茂みの奥の、密かに隠されているソコが、ぬかるんで滑っていることに。

(……どうして)

祈るような思いで、真理亜が目を閉じた。
唇を軽く噛み締めながら、ズボンのゴムに手をかけて、柔らかな布の中に手を差し入れる。
レースの下着にそっと触れれば、何もしていないはずなのに立てたままの足がわなないた。

「……ッ」

そっと顔を逸らしながら、指先で股間を探る。
布越しに、その割れ目を撫でた瞬間、今まで漏らさないように堪えていた声が、ほんの一瞬、喉の奥から漏れてしまった。

(あ、ぁ…)

間違いない。
濡れている。
否定のしようが無いほど、トロトロと溢れだした愛液が、下着のクロッチを侵食して、触れた指先に柔らかくまとわりついていた。

自然と、唇が開き、湿った息が溢れてしまう。

身体の熱が、行き場を求めて皮膚の下を甘く擽っている。

真理亜は唾液を飲み込みながら、眉を寄せて目を開いた。

そっと顔を戻して気付く。

「……!」

いつの間にか、顔をあげていた天使が、自分をじっと見つめていた。

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