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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
音もしない、ぼんやり光る空間で、二人だけで待たされている、その時間は、妙に気まずく、いたたまれない。
真理亜が不安げに男を盗み見ても、下を向いたままのザレムは表情はおろか、目を開けているのかすら分からない。
ローブに包まれた身体を見つめて、真理亜は、その首筋に視線を向ける。
昨夜、指を回し、その太い首に触れた記憶がある。
綺麗に繋がっていない記憶の断片は、だが、一つ一つの欠片が鮮烈な印象で、真理亜の心に蓄積されている。
見詰めているうちに、その羽に触れたくなって、思わず右手を握りしめた。
「……ふぅ」
と、不意に男が息を吐く音が、がらんとした空間に響く。
思わず息を潜めた真理亜の耳に、低く深い言葉が触れた。
「眠れたか」
「……」
意外な気遣いの言葉に、真理亜が目を丸くして固まる。
昨日の欲情にかすれた声とは違う。けれど、確かにザレムの声は、真理亜の身体の何処かを疼かせて響く。
(……)
妙な感覚に、真理亜が言葉を失っている間も、尋ねた天使は顔を上げもせず、動くこともなく、ただ、黙って返事を待っていた。
急かすこともせず、静かに沈黙を保つ男の姿に、真理亜が僅かに早まる心臓に右手を当てながら、そっと唇を開く。
「ちょっと、は…」
「そうか」
吐息だけで、ザレムが笑った気配を感じる。
真理亜が不安げに男を盗み見ても、下を向いたままのザレムは表情はおろか、目を開けているのかすら分からない。
ローブに包まれた身体を見つめて、真理亜は、その首筋に視線を向ける。
昨夜、指を回し、その太い首に触れた記憶がある。
綺麗に繋がっていない記憶の断片は、だが、一つ一つの欠片が鮮烈な印象で、真理亜の心に蓄積されている。
見詰めているうちに、その羽に触れたくなって、思わず右手を握りしめた。
「……ふぅ」
と、不意に男が息を吐く音が、がらんとした空間に響く。
思わず息を潜めた真理亜の耳に、低く深い言葉が触れた。
「眠れたか」
「……」
意外な気遣いの言葉に、真理亜が目を丸くして固まる。
昨日の欲情にかすれた声とは違う。けれど、確かにザレムの声は、真理亜の身体の何処かを疼かせて響く。
(……)
妙な感覚に、真理亜が言葉を失っている間も、尋ねた天使は顔を上げもせず、動くこともなく、ただ、黙って返事を待っていた。
急かすこともせず、静かに沈黙を保つ男の姿に、真理亜が僅かに早まる心臓に右手を当てながら、そっと唇を開く。
「ちょっと、は…」
「そうか」
吐息だけで、ザレムが笑った気配を感じる。