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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
「人間の女よ。貴方の選択肢は2つあります。このまま、この地を去るか。そこにいる穢れと共に森に向かうか」
「はい」
底の知れない緑がかった青い色の瞳を見つめ返し、彼女は一つ頷く。
真理亜の中に、『ザレムを消滅させる』という選択肢は、今も存在しない。
それは、昨夜の不埒な夜を経ても、尚、変わらない感覚だった。
曇りの無い視線で、彼女はイエナリアを見返す。
だが、彼女の表情を横目で確認したザレムは、強く眉を寄せた。
「なぁ。そんなに面白いかよ、お偉い天使様」
「……、ちょっ、ちょっと」
急に剣呑な空気を強めたザレムに、面食らった真理亜がハッとして口を出す。
「てめーは何がしたいんだよ。……こんな、まどろっこしいことしないで、さっさと俺を消滅させれば、こんな女一人、巻き込むことなく、エデンは平和に戻るだろうが」
「……」
語調に明らかに滲む怒りに、真理亜が不安げにイエナリアを見た。
だが、神格を司る天使は、ぶつけられる言葉に怯むこともなく、黙って咎人に相対している。
「お前の権限で、俺を消滅させれば、それで終わりに出来るじゃねーかよ」
ザレムが胡座の上の拳を強く握った。
「エデンの教えとやらは、お偉い神格長様には関係ないってことか?」
「ザレム…!」
思わず名前を呼んでから、真理亜は自分の口元を抑えた。
穢れの名を呼んでしまった彼女に、だが、イエナリアは避難の目を向けることは無かった。
ただ、青銅色の瞳を黒い天使に向けると微笑んだ。
「はい」
底の知れない緑がかった青い色の瞳を見つめ返し、彼女は一つ頷く。
真理亜の中に、『ザレムを消滅させる』という選択肢は、今も存在しない。
それは、昨夜の不埒な夜を経ても、尚、変わらない感覚だった。
曇りの無い視線で、彼女はイエナリアを見返す。
だが、彼女の表情を横目で確認したザレムは、強く眉を寄せた。
「なぁ。そんなに面白いかよ、お偉い天使様」
「……、ちょっ、ちょっと」
急に剣呑な空気を強めたザレムに、面食らった真理亜がハッとして口を出す。
「てめーは何がしたいんだよ。……こんな、まどろっこしいことしないで、さっさと俺を消滅させれば、こんな女一人、巻き込むことなく、エデンは平和に戻るだろうが」
「……」
語調に明らかに滲む怒りに、真理亜が不安げにイエナリアを見た。
だが、神格を司る天使は、ぶつけられる言葉に怯むこともなく、黙って咎人に相対している。
「お前の権限で、俺を消滅させれば、それで終わりに出来るじゃねーかよ」
ザレムが胡座の上の拳を強く握った。
「エデンの教えとやらは、お偉い神格長様には関係ないってことか?」
「ザレム…!」
思わず名前を呼んでから、真理亜は自分の口元を抑えた。
穢れの名を呼んでしまった彼女に、だが、イエナリアは避難の目を向けることは無かった。
ただ、青銅色の瞳を黒い天使に向けると微笑んだ。