この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
「貴方は生まれた時から変わらない」
その言葉の響きに、ザレムが片眉を持ち上げて言葉を止めた。
「自由を好み、秩序を揺るがす魂は、次の一代のために、また必要とされる息吹です」
穏やかな声が、がらんとした謁見の間に響く。
「けれど、自由と無秩序は異なります。自由には責任が伴う。……貴方が、その意味を学ぼうという意志があるならば、或いは、その魂に価値を見出すことも出来るかもしれない」
イエナリアの言葉に、真理亜が不思議そうに瞬く。
何故か、この白い天使は、穢れた天使を好意的に見ているように感じる。
それどころか、もっと温かい感情の、これは―――。
(慈愛?)
例えば、全てを見据える立場にある天使は、それぞれの天使を愛情を込めて見守っている、ということなのだろうか。
真意を探ろうと目を細めた真理亜の視線を気にもとめず、その美しい天使はザレムへの言葉を続けた。
「だからこそ、これが貴方の試練です。そして、彼女の選択が鍵になる。二人で、決めなさい」
微笑を浮かべたまま、イエナリアはローブを掬いあげると、数歩後ろに下がった。
それでも正面から視線を逸らさないザレムに、真理亜が1歩、歩み寄った。
その言葉の響きに、ザレムが片眉を持ち上げて言葉を止めた。
「自由を好み、秩序を揺るがす魂は、次の一代のために、また必要とされる息吹です」
穏やかな声が、がらんとした謁見の間に響く。
「けれど、自由と無秩序は異なります。自由には責任が伴う。……貴方が、その意味を学ぼうという意志があるならば、或いは、その魂に価値を見出すことも出来るかもしれない」
イエナリアの言葉に、真理亜が不思議そうに瞬く。
何故か、この白い天使は、穢れた天使を好意的に見ているように感じる。
それどころか、もっと温かい感情の、これは―――。
(慈愛?)
例えば、全てを見据える立場にある天使は、それぞれの天使を愛情を込めて見守っている、ということなのだろうか。
真意を探ろうと目を細めた真理亜の視線を気にもとめず、その美しい天使はザレムへの言葉を続けた。
「だからこそ、これが貴方の試練です。そして、彼女の選択が鍵になる。二人で、決めなさい」
微笑を浮かべたまま、イエナリアはローブを掬いあげると、数歩後ろに下がった。
それでも正面から視線を逸らさないザレムに、真理亜が1歩、歩み寄った。