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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
「勝手に私の行動を決めないで」

胡座のまま、自分を見上げるザレムを見下ろし、真理亜が冴えた言葉で言い返す。

「理由も知らずに頷けるほど、私は脳天気に生きてるお嬢様じゃないから」

真理亜に、顔を歪めたザレムが面倒そうに息を吐いた。

「だから言ってんだろ。何も聞くなって」

「言うとおりにしたら、貴方はどうなるの?」

「……」

ぐっと言葉に詰まるザレムに、真理亜が益々表情を険しくした。

「仮に記憶を無くすとしても、人殺しに加担するなんて、そんな寝覚めの悪い選択、私はしたくない」

「駄目だ」

「どうして」

食い下がる真理亜に、ザレムが唇を噛んで憤る。

「そんなに、その森が嫌なの?」

「嫌とか、そういうガキの論理じゃねーよ」

「じゃ、何?」

「危険だからだ」

返された言葉に、真理亜が床に膝をつくと、ザレムと視線を合わせる。

その表情は真剣だ。

出逢ってから、こんなにしっかりと瞳を見据えられたことが無かったからか、ザレムが僅かに眉を震わせる。

それでも、真理亜は男を見つめて、静かに尋ねた。

「私が、女だから?」

「……違う」

「じゃ、何で」

「お前が、人間だからだ」

人間、だから?

金色の瞳を見返しながら、真理亜は首を傾げた。

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