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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
微かに目を見開く白い天使を、じっと見つめ返しながら、真理亜は、とんでもないことを口走った自分に気付く。半ば勢いで、ザレムに対抗するように言い切ってしまった。けれど、そんな自分に驚きはするのに、心は妙に冷静だった。
この黒い天使は、とても紳士的には見えないし、人の言うことは聞かないし、ちょっと気を抜くと体を触ってきそうで油断は出来ないけれど、それでも、”消滅”は無い。
(短絡的すぎるかな、私)
沈黙の中、考えが、ふっと遠くに飛ぶのを、不機嫌そうな背後の男が引き止める。
「おい、神格長様。何、黙ってんだよ。さっさと、そこの女、人間界に送り返せよ」
「……」
「おい!」
怒鳴った直後、ザレムの喉が音もなく静かに閉まった。
「……」
苦しさに顔を歪めるも、吐息一つ漏らせない透明な拘束に、唇を震わせることも出来ない。
その様子を真理亜の身体越しに眺めながら、イエナリアが凪いだ海のように、そっと微笑んだ。
この黒い天使は、とても紳士的には見えないし、人の言うことは聞かないし、ちょっと気を抜くと体を触ってきそうで油断は出来ないけれど、それでも、”消滅”は無い。
(短絡的すぎるかな、私)
沈黙の中、考えが、ふっと遠くに飛ぶのを、不機嫌そうな背後の男が引き止める。
「おい、神格長様。何、黙ってんだよ。さっさと、そこの女、人間界に送り返せよ」
「……」
「おい!」
怒鳴った直後、ザレムの喉が音もなく静かに閉まった。
「……」
苦しさに顔を歪めるも、吐息一つ漏らせない透明な拘束に、唇を震わせることも出来ない。
その様子を真理亜の身体越しに眺めながら、イエナリアが凪いだ海のように、そっと微笑んだ。