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一夜の愛、人との愛
第14章 求められる決断
着替え終えた真理亜が階段を降りていくと、建物の1階、噴水の前にクレイルとザレムだけが佇んでいた。他に見送りはいない。
クレイルは階段を降りてくる真理亜に一礼すると、「ザレムの隣に立ち、手を繋ぐように」と指示を出す。
不安げに、その碧眼を見返すも、天使の顔には、もう謁見の間を開けた時のような物言いたげな苦笑は浮かんでいなかった。
静かに背中を押すような微笑に、真理亜は黒い翼の天使の隣に立った。
未だに不機嫌そうな男にチラリと視線を向ければ、彼は、ただひたすら、小さな光を反射しながら優しい飛沫を纏う噴水の水を眺めている。
その横顔に、これからのことを漠然と考えて、真理亜は、ふとクレイルに顔を戻した。
「あの…」
「大丈夫。貴方の洋服は、私が責任を持って保管いたします」
「あ、はい」
「弟には、私から話します」
「よ、ろしく、お願いします…」
淀みないクレイルの声に、これから行く場所について、うまく尋ねる事ができない。
(行けば、分かる……かな)
クレイルは階段を降りてくる真理亜に一礼すると、「ザレムの隣に立ち、手を繋ぐように」と指示を出す。
不安げに、その碧眼を見返すも、天使の顔には、もう謁見の間を開けた時のような物言いたげな苦笑は浮かんでいなかった。
静かに背中を押すような微笑に、真理亜は黒い翼の天使の隣に立った。
未だに不機嫌そうな男にチラリと視線を向ければ、彼は、ただひたすら、小さな光を反射しながら優しい飛沫を纏う噴水の水を眺めている。
その横顔に、これからのことを漠然と考えて、真理亜は、ふとクレイルに顔を戻した。
「あの…」
「大丈夫。貴方の洋服は、私が責任を持って保管いたします」
「あ、はい」
「弟には、私から話します」
「よ、ろしく、お願いします…」
淀みないクレイルの声に、これから行く場所について、うまく尋ねる事ができない。
(行けば、分かる……かな)