この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第17章 感知
猛獣の爪が、真理亜の白い胸に食い込み、プツッと焼き切れるような痛みと共に身体に震えが走った。
恐怖が強すぎて、身悶えることさえ出来ない。
今、暴れたら自分の胸がどうなってしまうのか、真理亜には分からなかった。
(いや! 死にたくない! 死にたくない! 死ねない!)
首筋に男の犬歯が当たっている。
大きな舌に喉元を舐められて、真理亜は強く目を閉じた。
噛みつかれたら息絶えるに違いない。
身体を包む感覚が、額に汗を孕ませ、歯の根が鳴った。
それでも。
閉じた瞼の裏側で、何かが光った。
それでも、まだ自分は死ねない。
死んでいられない。
なぜなら―――。
「イ、ザヤの実を……!」
「ッ!!」
その言葉に、雪豹の瞳が大きく見開かれる。
男は反射的にバッと顔を上げ、たった数分で憔悴しきった真理亜の顔を覗き込んだ。
「なんて、言った―――!?」
低く唸るような声に、真理亜は薄っすらと目を見開く。
男は、何かを見定めようとする真剣な瞳で自分の顔を凝視していた。
涙に濡れた瞳で、その表情を見上げれば、真理亜は恐怖に震える唇を無理やり開く。
「イザヤの、実を…、手に入れるまで、……死ねない」
死にそうな声で告げた言葉は、かすれて小さかったものの、男の耳には確かに届いていた。
「―――」
左の胸が、また熱く傷む。
思わず、真理亜が顔を横に倒し、身体をギュッと縮こめた。
だが、それは男が指を離し、傷口から爪が引きぬかれた痛みだった。
恐怖が強すぎて、身悶えることさえ出来ない。
今、暴れたら自分の胸がどうなってしまうのか、真理亜には分からなかった。
(いや! 死にたくない! 死にたくない! 死ねない!)
首筋に男の犬歯が当たっている。
大きな舌に喉元を舐められて、真理亜は強く目を閉じた。
噛みつかれたら息絶えるに違いない。
身体を包む感覚が、額に汗を孕ませ、歯の根が鳴った。
それでも。
閉じた瞼の裏側で、何かが光った。
それでも、まだ自分は死ねない。
死んでいられない。
なぜなら―――。
「イ、ザヤの実を……!」
「ッ!!」
その言葉に、雪豹の瞳が大きく見開かれる。
男は反射的にバッと顔を上げ、たった数分で憔悴しきった真理亜の顔を覗き込んだ。
「なんて、言った―――!?」
低く唸るような声に、真理亜は薄っすらと目を見開く。
男は、何かを見定めようとする真剣な瞳で自分の顔を凝視していた。
涙に濡れた瞳で、その表情を見上げれば、真理亜は恐怖に震える唇を無理やり開く。
「イザヤの、実を…、手に入れるまで、……死ねない」
死にそうな声で告げた言葉は、かすれて小さかったものの、男の耳には確かに届いていた。
「―――」
左の胸が、また熱く傷む。
思わず、真理亜が顔を横に倒し、身体をギュッと縮こめた。
だが、それは男が指を離し、傷口から爪が引きぬかれた痛みだった。