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一夜の愛、人との愛
第17章 感知
「人間の匂いって、こんなに強くなるんだな」

物珍しい玩具でも見つけたように、男の顔が輝く。

片手の甲が、真理亜の脚の間をするりと撫でると、慎ましく閉じていたはずの襞が開かれて、濡れた入り口が空気に晒された。

思わず閉じようとする脚の間を両手で割り開き、上体を起こした男が笑う。

「血の匂いの方が美味そうだけど、こっちも、気になる」

減らねーだろ?と微笑めば、男は何の躊躇もなく、真理亜の脚の付け根に鼻を近づけた。

「やっ…、やだ! やめっ…」

じっくり覗きこまれて、匂いを嗅がれ、その頭を引き離そうと頭を掴むも、男の身体はビクともしない。

ならば、と地面を蹴ろうとすれば、太腿に両手を置かれて力を込められた。

獣の手は、少し力を込めるだけで爪が食い込む。

「……!」

股に感じた痛みに、真理亜の身体が迷い弛緩する。

そのタイミングで、男は茂みの奥の割れ目に舌を這わせると、舌先で花弁の間を捲った。

恐怖のせいで萎縮しているはずのそこは、それでも、男の舌に素直に反射してヌルリと滑っている。

「お願いっ、止めてッ!」

真理亜が叫び訴えるも、雪豹の舌は無言で何度も上下に動いた。

湧き出す粘液と唾液を絡めて、ザラつく舌で真理亜の赤い襞を撫でては、その上に隠れる小さな突起を微かに刺激する。

繰り返し舐めあげられるうちに、真理亜の身体が小さく震えだす。

(やだ…、こんなの、絶対、いや…!)

理由の見えない拒否反応が、真理亜の胸を締め付ける。

それでも、身体が昂ぶることに気付き、真理亜は目を閉じて涙を堪えた。

「いや、……やだっ、やめてッ……!! っア!!」

何度も拒む真理亜に、男の舌が突起に絡み、吸い付いた。

身体の奥に、濁った熱が溜まって、無理やり絶頂に導かれそうになる。

息を吸った瞬間、心臓の鼓動が早まった。

「やめてッ……!!」

悲鳴混じりに叫んだ時だった。



「―――ッ!! チッ、んだよ!!」

「……はっ」



男の身体が横に吹っ飛ばされ、真理亜の傍に黒い獣が立ちはだかった。



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