この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
一夜の愛、人との愛
第17章 感知
こちらに視線を向けた男に、真理亜が小さく肩を震わせ身体を庇った。
暫く、その様子を見ていた男は、地に座り項垂れる男に鋭い視線を向ける。
「フロー。女に服を渡せ」
「……はい」
雪豹が立ち上がり、離れたところにおいてあった真理亜の服を手に戻ってくる。
その表情は苦々しく歪み、僅かな罪悪感と怯えが混じって見えた。
真理亜に服を渡し下がろうとしたところで、雪豹は首根っこを掴まれて、地に這わされる。
「ぐっ……」
先程まで狼と熾烈な殴り合いをしていたのが嘘のように、男はあっさりと地に足を付かされて、頬を地面にめり込ませた。
その首を掴む男は、尊大な瞳で雪豹を睨みながら腰を落とすと、ちらりと真理亜に視線を向けて「着ろ」と告げる。
はっとした真理亜が焦って服に手を通すのを確認すれば、男は拘束したままの雪豹に顔を戻した。
「言い訳くらいは聞いてやろうか」
「す、みません…、ロック」
「……」
暫く待ったが、雪豹が、それ以上何も言わないことを確かめれば、金髪の男は手を緩めて盛大な溜息を吐いた。
慌てて衣服を身につけてから、そこで漸く真理亜は気付く。
森の闇が晴れている。だからこそ、身体が動いたのだ。
けれど―――。
「ザレム?」
はっとして周囲を見渡す。
自分と共に”イザヤの実”を探しにきた男が居ない。
それに何より、この場所は、最後に気を失った場所と、景色が違って感じる。
不意に感じた不安感に、身体に緊張が走った。
(はぐれたの…?)
やっと動き出した思考回路が、最悪の事態を想定し始めて、真理亜が服の胸元を掴む。
チリッと左胸に痛みが走ったが、それよりも一人になったかもしれない恐怖の方が、今は勝っていた。
と、金髪の男が真理亜に近づく。
反射的に立ち上がりかけた彼女に片手を上げて、掌を見せると、男は緩く首を振った。
「慌てるな。お前の探している男は、そこにいる」
暫く、その様子を見ていた男は、地に座り項垂れる男に鋭い視線を向ける。
「フロー。女に服を渡せ」
「……はい」
雪豹が立ち上がり、離れたところにおいてあった真理亜の服を手に戻ってくる。
その表情は苦々しく歪み、僅かな罪悪感と怯えが混じって見えた。
真理亜に服を渡し下がろうとしたところで、雪豹は首根っこを掴まれて、地に這わされる。
「ぐっ……」
先程まで狼と熾烈な殴り合いをしていたのが嘘のように、男はあっさりと地に足を付かされて、頬を地面にめり込ませた。
その首を掴む男は、尊大な瞳で雪豹を睨みながら腰を落とすと、ちらりと真理亜に視線を向けて「着ろ」と告げる。
はっとした真理亜が焦って服に手を通すのを確認すれば、男は拘束したままの雪豹に顔を戻した。
「言い訳くらいは聞いてやろうか」
「す、みません…、ロック」
「……」
暫く待ったが、雪豹が、それ以上何も言わないことを確かめれば、金髪の男は手を緩めて盛大な溜息を吐いた。
慌てて衣服を身につけてから、そこで漸く真理亜は気付く。
森の闇が晴れている。だからこそ、身体が動いたのだ。
けれど―――。
「ザレム?」
はっとして周囲を見渡す。
自分と共に”イザヤの実”を探しにきた男が居ない。
それに何より、この場所は、最後に気を失った場所と、景色が違って感じる。
不意に感じた不安感に、身体に緊張が走った。
(はぐれたの…?)
やっと動き出した思考回路が、最悪の事態を想定し始めて、真理亜が服の胸元を掴む。
チリッと左胸に痛みが走ったが、それよりも一人になったかもしれない恐怖の方が、今は勝っていた。
と、金髪の男が真理亜に近づく。
反射的に立ち上がりかけた彼女に片手を上げて、掌を見せると、男は緩く首を振った。
「慌てるな。お前の探している男は、そこにいる」