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一夜の愛、人との愛
第3章 午後1時のリスニング
トイレの個室で、嗚咽をこらえながら、真理亜は涙を流していた。

(電話、ガチャ切りしちゃった・・・)

昨日から、何も良いことが無い。
ミーティングでは数字を間違えて、朝は寝坊して、酷い痴漢にあい、仕事では妙な質問をされて狼狽してしまった。

(いつもなら、冷静に対応してるのに・・・)

これが、厄日というものなのだろうか。

洋式のトイレに腰掛けて、自分の体を腕で包むようにして、真理亜は暫く、悲しみを吐き出した。






15分程しただろうか。

やっと個室の扉を開けると、真理亜は泣きはらした赤い目を鏡で確認し、ちいさく苦笑した。

「泣き虫め」

鏡の中の自分に笑う。

「雪子が心配するな」

軽く目元を洗って、深呼吸すると、出口の曲がり角にある姿見で自分の格好を見なおして、襟を整えてから、真理亜は廊下に出た。

その体が、突然、誰かにぶつかった―――。






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