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一夜の愛、人との愛
第5章 白亜の建物
男に案内された部屋は、建物の2階奥にある、洋風の一室だった。
決して遠い距離では無かったが、事も無げに彼女を抱き上げ、空中を静かに移動する男に、真理亜は頬を赤らめた。
初めての体験で緊張したうえに、妙に周りの目を感じた。
2階の廊下で擦れ違った男や、泉の傍で何か話していた青年達まで、自分を見上げていた気がする。
他の天使は、普通に建物内を歩いているものだから、尚更目立った気がした。
それにしても、誰もが背中に白い翼を携えていて、やっと自分が妙なことに巻き込まれた実感が湧き出す。
「こちらへ」
真っ白い石の扉を開けて、男は真理亜を部屋の中へ案内した。
言われるがまま、部屋の中へ入ると、その広さに息を飲む。
建物は、外観も内観も、全て白い石造りの硬さを感じる景観だが、彼の部屋は調度品の一部が木製で温かみが感じられた。
白い木製のデスクには、黒い万年筆と羽ペンが置かれ、赤いビロードのカバーがかかった本が見える。
その横に、木製の小さな丸椅子があり、柔らかそうな珊瑚色のクッションの上で、フェレットのような細長い体の動物が目を閉じて眠っていた。
眠る動物を照らす日差しが、大きく広がったテラスへの窓から降り注いでいる。
彼はテラスへの窓を少し開けると、薄い膜のようなカーテンを片方だけ開き、振り返って真理亜へ微笑んだ。
丸い眼鏡に日差しが反射して、一瞬光る。
(どうしよう)
いつか王子様が、とは思っていたが、まさか背中に羽の生えた王子様にエスコートされるとは思ってもいなかった。
流石に、胸が高鳴る。
白いスーツと、わずかに青みがかったシャツ、優しい紫の色合いのネクタイが彼の姿に映えている。
「かけて頂いて大丈夫ですよ」
声をかけられてハッとすると、彼女は導かれるままに、部屋の奥、天蓋のついたベッド横におかれたベージュのソファに腰かけた。
決して遠い距離では無かったが、事も無げに彼女を抱き上げ、空中を静かに移動する男に、真理亜は頬を赤らめた。
初めての体験で緊張したうえに、妙に周りの目を感じた。
2階の廊下で擦れ違った男や、泉の傍で何か話していた青年達まで、自分を見上げていた気がする。
他の天使は、普通に建物内を歩いているものだから、尚更目立った気がした。
それにしても、誰もが背中に白い翼を携えていて、やっと自分が妙なことに巻き込まれた実感が湧き出す。
「こちらへ」
真っ白い石の扉を開けて、男は真理亜を部屋の中へ案内した。
言われるがまま、部屋の中へ入ると、その広さに息を飲む。
建物は、外観も内観も、全て白い石造りの硬さを感じる景観だが、彼の部屋は調度品の一部が木製で温かみが感じられた。
白い木製のデスクには、黒い万年筆と羽ペンが置かれ、赤いビロードのカバーがかかった本が見える。
その横に、木製の小さな丸椅子があり、柔らかそうな珊瑚色のクッションの上で、フェレットのような細長い体の動物が目を閉じて眠っていた。
眠る動物を照らす日差しが、大きく広がったテラスへの窓から降り注いでいる。
彼はテラスへの窓を少し開けると、薄い膜のようなカーテンを片方だけ開き、振り返って真理亜へ微笑んだ。
丸い眼鏡に日差しが反射して、一瞬光る。
(どうしよう)
いつか王子様が、とは思っていたが、まさか背中に羽の生えた王子様にエスコートされるとは思ってもいなかった。
流石に、胸が高鳴る。
白いスーツと、わずかに青みがかったシャツ、優しい紫の色合いのネクタイが彼の姿に映えている。
「かけて頂いて大丈夫ですよ」
声をかけられてハッとすると、彼女は導かれるままに、部屋の奥、天蓋のついたベッド横におかれたベージュのソファに腰かけた。