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一夜の愛、人との愛
第5章 白亜の建物
コーラルよりも、より鋭い眼光で覗きこまれて、真理亜は文字通り縮み上がった。
同じ瞳の色なのに、数倍、深い色に見える。
その表情は、先ほどの険しさを残しながらも、大切な何かを探しているような真剣さを湛えていた。
「あ、あの・・・」
恐る恐る話しかけた真理亜の声を無視して、銀髪の天使は厳しい顔で踵を返した。
「上に部屋を用意させろ。天使長様に報告してくる」
男は、叱責よりも幾らか緊張を滲ませた声音で告げ、扉へ向かう。
言葉を受けたコーラルが、再び複雑そうな顔で視線を下げた。
「コーラル」
冷たい声のまま呼びかける銀髪の天使に、真理亜が不安そうに二人を見やった。
「お前は間違っていない」
銀髪の天使は一瞬口端を上げて優しく頷くと、早足で部屋を後にし、立ち去って行った。
はぁ・・・と、無意識に溜息が漏れる。
と、苦笑したコーラルが、眼鏡を直しながら真理亜へ視線を向けた。
「すみません。彼は、私の兄です」
「え? お兄さん?」
「似ていませんか?」
「すごく」
天使に兄弟がいることに驚きながらも、先ほどの迫力が、ただならぬ事態を示しているようで、妙に気をつかってしまう。
「あの・・・、私、ここにいて、いいんでしょうか?」
不安げに尋ねると、青年の眉が驚きに持ち上がってから、すまなさそうにハの字に変わった。
「あぁ、安心して下さい。大丈夫。ただ、ちょっと・・・、流石に、ここは私の部屋なので、この部屋で休んでいただくのは、貴方も落ち着かないのでは無いかと・・・」
歯切れ悪い返事ではあったが、彼なりの気配りが伝わり、真理亜の感じた緊張感も幾らかほぐれた。
「きっと、長居にはならないですし、すぐ戻れるはずですが、貴方の部屋を用意してきます」
この部屋で待っていて。
そう告げると、コーラルは真理亜を安心させるように再び頷いてから、部屋を後にした。
同じ瞳の色なのに、数倍、深い色に見える。
その表情は、先ほどの険しさを残しながらも、大切な何かを探しているような真剣さを湛えていた。
「あ、あの・・・」
恐る恐る話しかけた真理亜の声を無視して、銀髪の天使は厳しい顔で踵を返した。
「上に部屋を用意させろ。天使長様に報告してくる」
男は、叱責よりも幾らか緊張を滲ませた声音で告げ、扉へ向かう。
言葉を受けたコーラルが、再び複雑そうな顔で視線を下げた。
「コーラル」
冷たい声のまま呼びかける銀髪の天使に、真理亜が不安そうに二人を見やった。
「お前は間違っていない」
銀髪の天使は一瞬口端を上げて優しく頷くと、早足で部屋を後にし、立ち去って行った。
はぁ・・・と、無意識に溜息が漏れる。
と、苦笑したコーラルが、眼鏡を直しながら真理亜へ視線を向けた。
「すみません。彼は、私の兄です」
「え? お兄さん?」
「似ていませんか?」
「すごく」
天使に兄弟がいることに驚きながらも、先ほどの迫力が、ただならぬ事態を示しているようで、妙に気をつかってしまう。
「あの・・・、私、ここにいて、いいんでしょうか?」
不安げに尋ねると、青年の眉が驚きに持ち上がってから、すまなさそうにハの字に変わった。
「あぁ、安心して下さい。大丈夫。ただ、ちょっと・・・、流石に、ここは私の部屋なので、この部屋で休んでいただくのは、貴方も落ち着かないのでは無いかと・・・」
歯切れ悪い返事ではあったが、彼なりの気配りが伝わり、真理亜の感じた緊張感も幾らかほぐれた。
「きっと、長居にはならないですし、すぐ戻れるはずですが、貴方の部屋を用意してきます」
この部屋で待っていて。
そう告げると、コーラルは真理亜を安心させるように再び頷いてから、部屋を後にした。