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一夜の愛、人との愛
第1章 深夜2時のプロローグ
「あ……」
自由になった瞬間が、分かった。
息が詰まるような圧迫感が消えて、真理亜は思わず声を漏らす。
が、それを許さぬように、男は上体を倒して彼女の唇を奪った。
『抵抗したら殺す』
その言葉が、彼女の抵抗を削ぐ。
腰を掲げ、まるで獲物を食らう肉食獣のような格好で、男は真理亜と舌を絡めた。
左手を枕の横につき、右手は口付けたまま左頬を軽く撫でて、指先を首筋から肩のラインへ這わす。
頭上に掲げられたままの両手に気付き、音を立てて唇を離せば、男は真理亜の鼻先に口付けてから左の脇腹を擽った。
「んっ!」
思わず両腕を震わせ、胸前を隠した真理亜に、男が吐息で笑う。
「なぁ、楽しめよ。マリア」
彼女の上から横へ移動して、男は、真理亜の右耳を唇で食みながら囁く。
耳朶が弱い彼女は、声を殺して耐えるのが精一杯だった。
それでも、男は反応の薄さなど気にすることなく、右手の中指で真理亜の喉を静かに撫でている。
ただ隣に座られ、観察するように上から眺められながら、男の指が喉を通って、鎖骨の間を伝い、胸の谷間に到達すると、真理亜は腰が妙に疼くのを感じていた。
彼女は25歳の普通の会社員だったが、男性経験は1人だけ。
しかも、4年前に分かれてからは、彼氏さえいなかった。
人に触れられることが久しぶり過ぎて、その感覚が快楽の引き金だったことさえ思い出せずにいた。
「お前の、心臓の鼓動、感じる」
男が舌なめずりしながら呟く言葉に、彼女は無意識につま先をシーツの先で引っかきながら目を閉じた。
男の指先の動きを、嫌でも意識してしまう。
(なに、これ…)
胸元からヘソまで触れられると、彼女は所在なげな感覚に思わず内腿をキュッと閉じて体を震わせた。
妖しく燻る感覚が腰から背骨に抜けていく気がする。
(やめて…)
目を閉じて震える真理亜は、知らず知らず両手でシーツを強く握っていた。
その右手を、男が不意に、そっと握った。
「マリア。……言ったろ? 楽しめよ」
自由になった瞬間が、分かった。
息が詰まるような圧迫感が消えて、真理亜は思わず声を漏らす。
が、それを許さぬように、男は上体を倒して彼女の唇を奪った。
『抵抗したら殺す』
その言葉が、彼女の抵抗を削ぐ。
腰を掲げ、まるで獲物を食らう肉食獣のような格好で、男は真理亜と舌を絡めた。
左手を枕の横につき、右手は口付けたまま左頬を軽く撫でて、指先を首筋から肩のラインへ這わす。
頭上に掲げられたままの両手に気付き、音を立てて唇を離せば、男は真理亜の鼻先に口付けてから左の脇腹を擽った。
「んっ!」
思わず両腕を震わせ、胸前を隠した真理亜に、男が吐息で笑う。
「なぁ、楽しめよ。マリア」
彼女の上から横へ移動して、男は、真理亜の右耳を唇で食みながら囁く。
耳朶が弱い彼女は、声を殺して耐えるのが精一杯だった。
それでも、男は反応の薄さなど気にすることなく、右手の中指で真理亜の喉を静かに撫でている。
ただ隣に座られ、観察するように上から眺められながら、男の指が喉を通って、鎖骨の間を伝い、胸の谷間に到達すると、真理亜は腰が妙に疼くのを感じていた。
彼女は25歳の普通の会社員だったが、男性経験は1人だけ。
しかも、4年前に分かれてからは、彼氏さえいなかった。
人に触れられることが久しぶり過ぎて、その感覚が快楽の引き金だったことさえ思い出せずにいた。
「お前の、心臓の鼓動、感じる」
男が舌なめずりしながら呟く言葉に、彼女は無意識につま先をシーツの先で引っかきながら目を閉じた。
男の指先の動きを、嫌でも意識してしまう。
(なに、これ…)
胸元からヘソまで触れられると、彼女は所在なげな感覚に思わず内腿をキュッと閉じて体を震わせた。
妖しく燻る感覚が腰から背骨に抜けていく気がする。
(やめて…)
目を閉じて震える真理亜は、知らず知らず両手でシーツを強く握っていた。
その右手を、男が不意に、そっと握った。
「マリア。……言ったろ? 楽しめよ」