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一夜の愛、人との愛
第7章 魂の色
思わずスカート越しに自分の太腿へ視線を向ける真理亜を、ザレムは静かに見つめていた。

女の表情に、焦りと不安が浮かび、そこに怯えと戸惑いが混じる。

(おもしれー)

口に出さずに眺めていれば、その顔がコチラを向いた。

人間の中では、やや大きく丸い瞳が、躊躇いがちに、だが、はっきりと自分を見つめている。



無意識に唇を舐めるザレムに気づかず、真理亜がスカートの裾を握りしめた。



「その傷は、私でも分かるの?」



声に幾らか緊張の色が混じっている。

『お前でも分かる』と答えれば、この場で確認するのかもしれない。

(・・・・・・)

一瞬、脳裏で画策してから、ふっと笑って、天使は胡座を緩めた。



「ちょっと、こっちに来い。場所を教えてやる」



右手を鎖ギリギリまで引っ張ると、右太腿の上で指先だけで手招きする。

真理亜が躊躇して、その手元とザレムの顔を何度か見比べた。

表情はハッキリ見えないが、腕は先ほどの距離までしか伸びていない。



「怖がることねーだろ? 俺は囚われの身だし、お前に手出しは出来ねーよ」



その声は穏やかで、彼女を追い詰めるような鋭さも無い。

真理亜は尚も数秒迷ったが、ゆっくり立ち上がるとザレムの傍へ歩み寄った。





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