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だって可愛いから。
第1章 エレベーター
「私は樹(いつき)。きょうすけは何て呼んでくれるの?」
名前を呼ばれてどきっとした。
戸惑って口を閉ざしてしまったきょうすけの頬に、樹は両手を当てた。
樹は顔を近付け、小さく震えているきょうすけの唇の輪郭をなぞるようにゆっくりと舌を這わせた。
きょうすけはどうしたらよいのか分からないまま、また股間の熱さが増していく事に戸惑いを感じていた。

「恥ずかしいの?これからもっと恥ずかしい事するのに。」
笑みを浮かべながら身体を離し、きょうすけの手を引いて部屋に連れて行く。
広いリビングからは夕焼けがよく見える。
間取りがきょうすけの部屋とは少しだけ違うようだった。
そしてきょうすけの家とは違う、いい香りが鼻をついた。
それが何だか女の人を連想させて、また興奮に拍車をかける。
「うわぁ!」
手を引いていた樹の手が離れたかと思うと、その手はきょうすけのブレザーのボタンを外しはじめた。
二つのボタンを片手で器用に外すと、お腹の辺りにペタリと手を貼り付けて、いやらしく肩口まで手を這わせた。きょうすけの左肩からブレザーが滑り落ちた。
「もう片方は自分で脱いで?」
耳元で囁かれて、きょうすけは慌てるようにブレザーを脱いだ。
心臓が短距離を疾走した後のようにドクドクと打つ。
これから起こることに期待と不安が入り混じった複雑な心境を抱えて、きょうすけは樹を見た。
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