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~罪の天秤~
第3章 人の不幸を笑う罪
バイトが終わったのが22時。
そっから着替えてメイクして、23時にふた駅離れたところで雄二と待ち合わせした。
どこから漏れるか分かんないから、できれば渡辺雪菜だけじゃなく他の誰にも見つからないように。

「ごめん!遅くなった!」

「んーん、俺も今来たとこ。バイトおつかれ」

不意に触れた手はひんやりしてて、今来たなんて嘘だと思った。
雄二はこういうとこがある。
優しい嘘がつける人なのだ。

……だから変な女に捕まっちゃうんだけど。

「今から行くホテルお風呂すげえ広いらしいよ?せっかくだから一緒に入ろ?」

雄二が小さい子どものように笑うと、彼の短い髪が少しだけ揺れた。
渡辺雪菜のことはもういいんだろうか。
そう思ってしまう程彼の態度は普段と変わらない。

「何か楽しそうだね」

「おう!雪菜とは俺の家でしかしなかったから……っと…ごめん…」

「は?何で雄二があやまんの?ラブホあんまり行ったことないんでしょ?楽しめばいいじゃん」

私も笑って返してあげた。

雪菜……そんなふうに名前で呼んでたのか…
……って何で私がそんなことで動揺してんのよ。
雄二が誰とどんなふうに付き合ったのかなんてどうだっていいのに。



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