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~罪の天秤~
第5章 私の犯した罪の罰
「いつからだ?」

今までに聞いたことがないくらいの低い声が雄二の唇から洩れた。
雄二が怒るとこんなふうになるのだと初めて知った。
いつもの意地悪なんて比じゃなかったのだ。

「……二週間くらい前かな」

「やられてんのは電話だけ?」

「……うん、けど…」

「証拠がないんだろ?」

ホントにどうしてこいつはこんなに察しが良いのか……

「信じて……くれるの?」

「当たり前だろ。何言ってんだよ」

「だ、だって……」

くしゃくしゃっと私の髪を崩すと雄二は苦笑いした。

「まあな、お前の言いたいことも分かるよ。俺も実を言うと不思議なんだ。何で…お前の方を信じちゃうんだろうなってさ」

私のほっぺに両手を添えると、雄二はそのままぎゅっと頬を挟んだ。
ぶさいくになったはずの私の顔を見て何かを吹っ切ったような顔をする。

「ゆうじ…?」

「じゃあな」

そう言うと私が止める間もなく雄二は部屋を出た。
止めなくちゃ。
追いかけなくちゃ。
そう思うのに体が動かない。





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