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~罪の天秤~
第6章 私は新たな罪を犯す
「もうやめよう、もうやめなきゃ、そう思ってはいたんすけどねー」

「何で……渡辺さんだったの?」

「んーこんなこと言うと説教されるかもしれないんすけど、誘われたから何となく……ですかね」

「あぁ……そう、なんだ」

「あ!今俺のことやっぱりバカだと思ったでしょ!ぜってえそうだ!」

タカシくんの明るいキャラクターはほんの少しの間私をなごませた。
考えなきゃいけないことは山積みで、タカシくんのことも本当は利用するために近づいたのに、それすらも忘れてしまいそうだ。

「あ、そろそろ時間っすね」

イヤホンを外し、それをロッカーに入れてタカシくんは立ち上がった。
私も…と立ち上がりかけた私の前に手が差し出される。

雄二とは違うもう一人の優しい手。
でも私は何でもするって決めたんだ。
タカシくんには申し訳ないけど使えるものは使わせてもらう。

私は気持ちを固め、その優しい手に自分の手を重ねた。

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