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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
平均より少し身長が小さい華子。
こんな人混みではぐれてしまったら探すのは大変だろうな、なんて。
―――とりあえず、手でも繋いどくか。
屋台で何か食べ物でも買い、この人だらけの会場から少し離れて、静かな場所に座りながらゆっくり花火を楽しもう――そう思った陽輔が、華子の手をとろうとしたその時……。
「二人で別々に屋台に並んだら、その分早くゆっくり出来るよね!
ようちゃんが焼きそばの列に並んでる間に、
私、ちょっとそこで飲み物買ってくるから…!
待ってて!」
―――おい……華子さん?
「華子…っ、待って!」
陽輔の伸ばした手が空を舞う。
華子は華子なりに、仕度に時間が掛かってしまったことを気にしての行動なのだが、それは陽輔の知るところではない。
思い込んだらまっすぐな華子は、すぐにに駆け出して行ってしまった。
陽輔の制止も効かずに駆け出した華子のその小さな姿は、歩きにくいはずなのに、あっという間に人混み紛れると、分からなくなってしまったのだ。