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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
(……こっ恐いっ!)
自分の不注意のせいとはいえ、男に怒鳴られ、華子の気持ちはまるで獲物に狙われた小動物のようだった。
蛇に睨まれたカエルになった面持ちで、華子はその場に立ちすくむことしかできない。
――うえぇぇぇん…
突然に響き渡ったその声に。
強面の男の後ろに隠れるようにして泣きじゃくっている浴衣姿の少女の姿に、華子の緊張は破られる。
―――どうしたんだろう?
その少女は幼いその顔をくしゃくしゃにしながら、大きな瞳からこぼれ落ちる涙が、ボタボタと頬を濡らしていた。