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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
全力で泣いたせいだろう。
花火大会の為に可愛らしく着せられていた浴衣は、泣きながら擦ったせいで、少し着崩れてしまっていた。
そして。
白い浴衣地への赤いイチゴシロップの染みは、そこだけ何かを主張するかのようにやはり目立っている。
―――でも、付いたばかりの染みならなんとかなるかも!
自分の不注意のせいで、女の子のお祭りでワクワクしていた大事な時間を台無しにしてしまった―――華子は泣いている女の子に目線を会わせると、その真っ赤なうさぎの目になっている瞳を覗き込んだ。
「お嬢ちゃんのお名前、さやちゃんって言うのね。素敵なお名前だね。
さやちゃん…。
本当にゴメンね。
お姉ちゃんが浴衣直してあげる。
だから、許してくれる?」
「………………ほんとう?
お姉ちゃん、なんとかして、くれ、るの?
ひっく、お気に入りの、浴衣な、んだよ。
これからお友達のゆうくん、に、あうの。
ちょうちょがついてて可愛いの、に!…でも、汚れちゃったの……」