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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
「ちょっとトイレに、さやちゃん借ります!」
「おっ、おい!お前、何言って……!」
いきなりさやちゃんの手を引いて歩きだした華子に、慌てふためいたのは、さやちゃんの父親である男である。
大事な娘が見知らぬ女性に連れ去られようとしているのだ。父親なら慌てるのも当然だった。
「おい、待てよ、ねぇちゃん!」
「パパ、うるさい!」
どうやら華子は浴衣を何とかしてあげると口にした時点で、さやちゃんの気持ちを掴んでしまったようだ。
愛娘からのピシャリとした冷たい言葉に怯む父親。
可愛い娘からのそのひと言に、強面な顔の父親は、柄にもなくしゅんとした表情を浮かべる。
もちろん本当に愛娘に危険を感じたなら、その態度も違っていただろう。