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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
河川公園から二人の自宅までは、この田園地帯を抜けてすぐだった。
来た時のウキウキした気持ちとは反対に重苦しい空気を漂わせ、陽輔は華子を半ば引きずるようにして、その歩みを進めて行く。
「ようちゃん…っ、待って――…。」
陽輔を呼ぶ華子のか細い声。
その声は、ドーンという花火の音の合間に消え入るように響いていたが、頭に血が昇る陽輔の耳には届かない。
(……足、痛いなぁ)
華子の右足は既に限界で、歩くのが辛くなってきていた。ヒリヒリとその存在を主張する、擦れた箇所からは、うっすらと血が滲んでいた。