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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
―――なんで華子は電話に出ない?
陽輔の胸によぎる嫌な予感。
2時間近くも連絡が取れないなんて、おかしいだろう―――華子の身に何か。電話に出れない何かがあったに違いなかった。
だからこそ、トイレの前に立っている華子の姿を、その笑顔を見た瞬間、陽輔は安心し、ホッとしたのだ。
でも・・・華子からの連絡がくるまでの間、ずっと不安に苛まれていた陽輔である。その反動からだろうか・・・陽輔の心の中には、ホッとするのと同時にモヤモヤした気持ちが湧いて来て。
“待っていろ”そうスマホで華子に告げた、トイレの前。
花火大会のごった返す人ごみの中で、陽輔を見つけて、その顔をふわっと綻ばせた華子の姿。
その無邪気な笑顔・・・言い換えれば能天気な様子に、陽輔はイラつく気持ちを止められない。
―――全く。人の気も知らないで・・・。