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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
それから家につくまで陽輔は何も喋らなかった。
もしかしたら・・ようちゃんはまだ怒っているのかもしれない。
大きくて温かいその背中に耳を寄せると、大好きな陽輔の匂いがして。その温もりに安心してしまう華子だった。
****
「ただいま」
「おかえりなさい。」
誰もいない自宅。
その静まり返った玄関に向かって声を掛ける陽輔―――それは陽輔の無意識の行動だった。
いつもなら帰宅すれば、華子からの“おかえりなさい”が聞こえる毎日。
二人だけしか住んでいない家、一緒に留守にした時に返事など返ってくるわけは無いはずなのに―――。
背後から聞こえた華子からの声に、陽輔はハッとし、思わず微笑んでしまう。