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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
“ただいま”“おかえり”
それは、家に帰って来たということを示す儀式みたいなものだと陽輔は思っている。
一人暮らしをはじめた頃から、口にしなくなったったその言葉は、華子と一緒に暮らし始める様になり再び毎日口にし始めた言葉のひとつで、それは大切な誰かと一緒に暮らしているという証のような気がした。
陽輔の言葉に呼応して、華子の口からついてでた“おかえりなさい”の言葉。その言葉が自然に返ってくることが嬉しい。そんな当たり前の日常に、幸せを感じてしまう陽輔だった。
そんなホッコリした気持ちを胸に、陽輔は華子をおんぶしたまま家に入ると、華子の華奢な躯を、そっとソファーに降ろして座らせ、足の傷に気をつけながらそっと下駄を脱がせた。