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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
洗面所の方から陽輔がなにか作業をする音が響いてくる。続いて水音がしたから、水道の蛇口をひねったんだとわかって。手でも洗ってるのかなぁ、なんて華子は思う。
―――さっきのようちゃんの剣幕は一体なんだったんだろう。
(スマホに出なかった自分が悪いのだから、ようちゃんが怒るのも無理は無いんだけれど…。)
陽輔にグイッと引かれた手。強く華子の手首を握り絞めたその手の力と、どんどん歩いて行く歩幅に、あまり見ることのない陽輔の怒りを感じた。
普段は温厚で優しいからこそ、そんな風に気持ちが荒立っている陽輔の姿は珍しく、その怒りに、華子は昔のことを…修司の事を思い出し、少し怖いと一瞬だけ思った。――――でも。