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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
視線とは裏腹に、陽輔は優しい手つきで華子の足の指を拭いていく。
温かいタオルで指の間をゆっくりなぞられる。
大丈夫な方の足の方から順番に拭きあげられ、その作業は怪我している足へと移って。
優しい動きと、じんわりとした温みは、慣れない下駄で歩き疲れた足には心地好良かった。
―――んんっ、ぁっ!
そのあえぎ声は、不可抗力。
足を拭いてもらったその気持ち良さに、思わず口からため息が漏れる。
そんな声を出してしまったことに、なんだか気恥ずかしさを感じ、慌てて口を手で押さえる華子だった。必死に声を我慢する。けれど我慢しているからこそ、その鼻から抜けるような吐息が色を増していることに、本人は気づくよしも無い。