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だ〜いすき!
第3章 花火大会の夜は切なくて
もし怪我をしていないその指にそっと口づけを落としたらどうだろう。
その指を噛んだら――やはり同じように眉間に皺を寄せるのだろうか…なんて。ふと、そんなことを考えてしまい、いつか試そう。そう陽輔は心に誓うのだ。
この怪我は自分のせいだ。
でも、それは華子がすぐに戻って来ないからだった。心配と、それに伴う腹ただしさ、そして怪我をさせてしまった・・という気持ちが陽輔の中でグルグルと混ざり合い気持ちは乱れる。
「ようちゃん…ありがと」
華子からふんわりと漂ってきた沈丁花の甘い香り。目の前には可憐な足首を無防備にさらす浴衣姿の華子がいた。
陽輔の思考はまとまらないまま…。
気がつくと、陽輔はその腕を華子の方に伸ばしその躯を引き寄せていた。
「ようちゃん?」