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第3章 花火大会の夜は切なくて

　先程足を拭いてくれた優しいようちゃんは、どこにいってしまったんだろう。
　
　触れられている場所は同じな筈なのに、その行為は丁寧で優しければ優しい程、優しくない気がしてしまうのは何故？
　　
　いつもなら、陽輔に抱かれる時は優しいキスから始まることが多いのに、未だ唇は淋しいままで。
　触れそうな期待だけを与えるだけ与えて、核心を避ける行為に、疼いた躯はもしかしてこのまま満たされること無く終わってしまうのかな、なんて。ちょっと不安になってしまった時―――。
　
　
「どうして欲しいか自分から口にしないと、いつまでもこのままだけど。いいの？」
　
「…い、意地悪…」
　
　
　華子が口にするのが恥ずかしいのを解っていて、わざとその言葉を口にする陽輔は意地悪だ。
　
　ようちゃんにキスしたい。胸の頂きに触れて欲しい。そして、ようちゃんを求めてジンジンしているぬかるみを熱い自身で充たして欲しい――そう口に出来たら良いのに、なかなか口にする事ができない華子だった。