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だ〜いすき!
第2章 熱に溺れて…七夕の願いごと
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どこからが夢でどこからが現実なのかな――――。
幸せな記憶の断片のその境目が曖昧なまま。
寝室のベッドに横になっている華子。
その目覚めたての頭は、少しだけピントが合わずにまだボーっとしている。
「華子…起きた?気分はどう?」
「ん…。」
陽輔の優しい声がすぐそばに聞こえた。
―――その声は夢?それとも現実…?
「――――ちゃ…ん。」
陽輔の姿が夢か現実か確かめたくて、その名を呼ぶ。
でも――掠れる声。
名前を呼ぼうとしても、喉がひりつき声がうまく出せずに、音の無い叫びは空中に霧散した。
水分が足りない。
口の中がかさついて、愛しい人のその名を上手く呼べ無いのがもどかしくて。
声が出せないまま――。
華子は陽輔の声のする方にその手をそっと伸ばした。