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笑える復讐劇
第1章 憾み
 絶対に許さない。繰り返し胸の内に燃え続ける怒りの業火は、鎮まる事を知らない。けれど、パトロンに鬱憤を聞いてもらえた事により、何かしら危ない思考へ走る事は避けられたような気がする。刹那でも練り上げそうになった犯罪的な計画の回避は出来た。そう改めて自分の感情を冷静に振り返れば、パトロンと再びチャットをした事実がとてもありがたい。またお礼の文を書き込もうか、と和人は思う。

 しかし、そうこう色々と考えている内にパトロンからの返事が異常に遅い事に気がつく。チャット画面をよく見れば、「書き込み中…」の薄い文字が出たり消えたりを繰り返していた。恐らく、どう返事を返せば良いのか考え倦ねているのだろう。チャット文を書いたり消したりしているのに比例して、「書き込み中…」の表示も何度も点滅をしていた。

 もしかして、和人に慰めの言葉を贈ろうとしているのだろうか。

 それもそうだろう。彼女に振られた話などされたら、社交辞令でも慰めの言葉を返すのが常識だ。和人本人が話を聞いてもらうだけで満足しようが、相手には関係ない。パトロンは今、きっと必死に和人を励まそうとしているのだ。そう察すると、和人はとたんに項垂れる。
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