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秘密
第5章 仮面の下
西村の顔が一瞬強張った。
「…あの家で?」
「えぇ」
「そうか…」
懐かしい思い出が、今は痛みなのかも知れない
「義母もとても元気です」
「うむ、……沙織さんだったかな」
「はい」
「今日はたまたまここに来たんだが、もう会うこともないだろう」
「お元気そうだったと伝えておきます」
西村が沙織の肩に手を乗せて優しく微笑んだ。
「いや、黙ってる方がいい。いやな気分になるだけだからね、思い出したくもない筈だ」
「でも…」
「今の幸せを壊したくないのなら、私の事は黙っていなさい、いいね」
「…はい、あの」
「ん?」
「お、お義父さんは、幸せなんですか?」
沙織は久しぶりにおとうさんという言葉を口にした。
西村の表情が和らいだ。
「あぁ、ありがとう。
意外と楽しくやってるよ。
これからは沙織さんの幸せを遠くから願う事にしよう」
温かな手が肩から離れた。
「幸せなんて、いつ壊れてもおかしくないものだからね」
慎一郎が話しているように聞こえる。
「お店は?」
「あ、はい、戻ります」
「では失礼するよ、さようなら」
「…さようなら」
「…あの家で?」
「えぇ」
「そうか…」
懐かしい思い出が、今は痛みなのかも知れない
「義母もとても元気です」
「うむ、……沙織さんだったかな」
「はい」
「今日はたまたまここに来たんだが、もう会うこともないだろう」
「お元気そうだったと伝えておきます」
西村が沙織の肩に手を乗せて優しく微笑んだ。
「いや、黙ってる方がいい。いやな気分になるだけだからね、思い出したくもない筈だ」
「でも…」
「今の幸せを壊したくないのなら、私の事は黙っていなさい、いいね」
「…はい、あの」
「ん?」
「お、お義父さんは、幸せなんですか?」
沙織は久しぶりにおとうさんという言葉を口にした。
西村の表情が和らいだ。
「あぁ、ありがとう。
意外と楽しくやってるよ。
これからは沙織さんの幸せを遠くから願う事にしよう」
温かな手が肩から離れた。
「幸せなんて、いつ壊れてもおかしくないものだからね」
慎一郎が話しているように聞こえる。
「お店は?」
「あ、はい、戻ります」
「では失礼するよ、さようなら」
「…さようなら」