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秘密
第5章 仮面の下
「姉さん、再婚して幸せになってよ」
寿司を頬張りながら百合子が喋り続ける。
「だって今のこの生活が私に合ってるのよ」
「だったらこの家で一緒に住めば?」
百合子は早くも結婚後のアドバイスを始めたが、沙織にはまったく想像できず、耳をそばだてながらマグロを口に入れた。
「この家で?」
「あ、そうだ。
慎ちゃん達がここを出て2人で暮らせばいいじゃないの。……うるさい姑がいなくなって子作りには最適だわ」
「うっ…、ゴホッ…」
沙織が喉にシャリを詰まらせて咳き込んだ。
「沙織さん、ほら、お茶飲んで…」
背中を丸め顔を真っ赤にして苦しんでいる沙織に、咲子がお茶を差し出し隣に座って背中を擦る。
「す、すみ、ま…せん、…ゴホッゴホッ…」
「ほら百合子、あなたが変な事言うから…」
「あら、ごめんなさい、でもごく一般的な考えよ」
咲子は沙織が落ち着くまで背中を擦り、百合子は呑気に寿司とお茶を口に運び続けた。
夫と2人きりの生活…
望んだ事も、想像した事もなかった。
結婚する前から同居する事は決まっていたし、後悔した事など一度もない。
むしろ今、明るい我が家の空気が保たれているのは咲子のお陰だった。
寿司を頬張りながら百合子が喋り続ける。
「だって今のこの生活が私に合ってるのよ」
「だったらこの家で一緒に住めば?」
百合子は早くも結婚後のアドバイスを始めたが、沙織にはまったく想像できず、耳をそばだてながらマグロを口に入れた。
「この家で?」
「あ、そうだ。
慎ちゃん達がここを出て2人で暮らせばいいじゃないの。……うるさい姑がいなくなって子作りには最適だわ」
「うっ…、ゴホッ…」
沙織が喉にシャリを詰まらせて咳き込んだ。
「沙織さん、ほら、お茶飲んで…」
背中を丸め顔を真っ赤にして苦しんでいる沙織に、咲子がお茶を差し出し隣に座って背中を擦る。
「す、すみ、ま…せん、…ゴホッゴホッ…」
「ほら百合子、あなたが変な事言うから…」
「あら、ごめんなさい、でもごく一般的な考えよ」
咲子は沙織が落ち着くまで背中を擦り、百合子は呑気に寿司とお茶を口に運び続けた。
夫と2人きりの生活…
望んだ事も、想像した事もなかった。
結婚する前から同居する事は決まっていたし、後悔した事など一度もない。
むしろ今、明るい我が家の空気が保たれているのは咲子のお陰だった。