この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密
第5章 仮面の下
「その後私、ここに来たのよ、そしたら姉は呆然としてるし慎ちゃんは2階に引っ込んじゃって…。
よく聞いてみたらさ、赴任先に女が出来たから別れてくれって言われたっていうじゃない…」
あぁ、それは前に夫が話してくれた経緯(いきさつ)だ
「可哀想なのは慎ちゃんと、何も知らずに後から帰ってきた祐ちゃんよ、無責任にも程があるわ、まったく…」
たしか、祐二さんは中学生で夫は高校3年だったはず…
「百合子、もういいってば。あの人は私達に全部置いて行ったんだから…」
お茶を入れ替えた咲子が戻ってきた。
「そんな事当たり前よ、姉さんは相手にも慰謝料請求するべきだったのに…」
百合子は昔を思い出し、未だに怒りがおさまらないようだった。
今日会ったなんてとても言えない…
姉の代わりに怒りまくっている百合子の隣で、湯飲みにお茶を注ぐ咲子の手元がカタカタと音を立てた。
義母はいったいどうやって今の笑顔を取り戻したのだろうか
子供達の力だろうか…
沙織は誰かの不貞で傷つくのはその妻や夫だけではなく、その周辺も否応なしに捲き込まれてしまうという理不尽さを改めて思い知らされた。
よく聞いてみたらさ、赴任先に女が出来たから別れてくれって言われたっていうじゃない…」
あぁ、それは前に夫が話してくれた経緯(いきさつ)だ
「可哀想なのは慎ちゃんと、何も知らずに後から帰ってきた祐ちゃんよ、無責任にも程があるわ、まったく…」
たしか、祐二さんは中学生で夫は高校3年だったはず…
「百合子、もういいってば。あの人は私達に全部置いて行ったんだから…」
お茶を入れ替えた咲子が戻ってきた。
「そんな事当たり前よ、姉さんは相手にも慰謝料請求するべきだったのに…」
百合子は昔を思い出し、未だに怒りがおさまらないようだった。
今日会ったなんてとても言えない…
姉の代わりに怒りまくっている百合子の隣で、湯飲みにお茶を注ぐ咲子の手元がカタカタと音を立てた。
義母はいったいどうやって今の笑顔を取り戻したのだろうか
子供達の力だろうか…
沙織は誰かの不貞で傷つくのはその妻や夫だけではなく、その周辺も否応なしに捲き込まれてしまうという理不尽さを改めて思い知らされた。