この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
秘密
第6章 酔い
慎一郎が咲子の顔をじっと見つめた。
「……あ、そうか、そうだった、ハハ…」
思い出したように慌てて笑う夫に、沙織は情けなくて腹が立った。
「百合子、その話もういいわよ」
咲子は、長くなりそうな百合子の話を慌てて遮った。
「…そっか、今日はあなたに姉さんの再婚の話ばかりを聞かせてたせいね、あはは…、いつも話があちこちに飛んじゃってゴメンね、…あら、やっぱりおいしいわねこのケーキ…」
百合子のお喋りは止まらない。
「百合子、喋るか食べるかどちらかにしなさいよ」
「あははっ…、姉さんの言う通りよね、でもそんなのムリムリ…、ここへは喋りに来てるの私…あ、やだ、イチゴが飛び出しちゃった…」
「ぶ…あははは…」
「まったくもう…ふふっ…」
夫と義母が笑う一方で、時間が気になる沙織は、いつまでも帰らない百合子にイラついていた。
待っているかもしれない
きっと待ってる
きっと…
ケーキの味もコーヒーの味もどうでもよかった。
和やかで平和な笑いの中で沙織はひとり、心に吹き荒れる切ない想いを抱きしめていた。
逢いたい
あなたに逢いたい
ごめんなさい
ごめんなさい
「……あ、そうか、そうだった、ハハ…」
思い出したように慌てて笑う夫に、沙織は情けなくて腹が立った。
「百合子、その話もういいわよ」
咲子は、長くなりそうな百合子の話を慌てて遮った。
「…そっか、今日はあなたに姉さんの再婚の話ばかりを聞かせてたせいね、あはは…、いつも話があちこちに飛んじゃってゴメンね、…あら、やっぱりおいしいわねこのケーキ…」
百合子のお喋りは止まらない。
「百合子、喋るか食べるかどちらかにしなさいよ」
「あははっ…、姉さんの言う通りよね、でもそんなのムリムリ…、ここへは喋りに来てるの私…あ、やだ、イチゴが飛び出しちゃった…」
「ぶ…あははは…」
「まったくもう…ふふっ…」
夫と義母が笑う一方で、時間が気になる沙織は、いつまでも帰らない百合子にイラついていた。
待っているかもしれない
きっと待ってる
きっと…
ケーキの味もコーヒーの味もどうでもよかった。
和やかで平和な笑いの中で沙織はひとり、心に吹き荒れる切ない想いを抱きしめていた。
逢いたい
あなたに逢いたい
ごめんなさい
ごめんなさい