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秘密
第7章 剥がれた仮面
いつも呼び出される相崎という上司は、本当は女なのではないか
それとも別の女子社員?
有給を取って妻と旅行する夫に何度も連絡をしてきたのは邪魔をする為?
疑いだすと全てが疑わしく、真実はどこにも見当たらない。
妻に対する無礼な女の底意地が見え隠れする事が、沙織には何より許せなかった。
更にバレている事にも気付かずのんきに風呂に入っていた平和な夫。
何も知らない義母がかつて味わった同じ苦しみを、息子が嫁に与えている事を知ったら…
沙織はドロドロと煮えたぎる怒りに巻き込まれ、冷静さを失っていった。
妻の知らない悦びを、別の女になら与えられるというのだろうか
妻の裸からは目を背け、別の女となら全裸で抱き合えると…
見ないようにしていた疑念が次々と心を埋めつくし、倉本へと走ってしまった時の自分の惨めさを思い出す。
私を抱きしめるつもりなどなかった
早朝からホテルを出て女の元へ行ったのだ
沙織はバスルームから出て躰を拭き、着替えて髪を乾かし、歯磨きも済ませた。
鏡には冷ややかな顔をした自分が映っていた。
リビングからは談笑する親子の声が聞こえる。
「………」
沙織だけが荒れ狂う怒りをおさめようと必死に戦っていた。
それとも別の女子社員?
有給を取って妻と旅行する夫に何度も連絡をしてきたのは邪魔をする為?
疑いだすと全てが疑わしく、真実はどこにも見当たらない。
妻に対する無礼な女の底意地が見え隠れする事が、沙織には何より許せなかった。
更にバレている事にも気付かずのんきに風呂に入っていた平和な夫。
何も知らない義母がかつて味わった同じ苦しみを、息子が嫁に与えている事を知ったら…
沙織はドロドロと煮えたぎる怒りに巻き込まれ、冷静さを失っていった。
妻の知らない悦びを、別の女になら与えられるというのだろうか
妻の裸からは目を背け、別の女となら全裸で抱き合えると…
見ないようにしていた疑念が次々と心を埋めつくし、倉本へと走ってしまった時の自分の惨めさを思い出す。
私を抱きしめるつもりなどなかった
早朝からホテルを出て女の元へ行ったのだ
沙織はバスルームから出て躰を拭き、着替えて髪を乾かし、歯磨きも済ませた。
鏡には冷ややかな顔をした自分が映っていた。
リビングからは談笑する親子の声が聞こえる。
「………」
沙織だけが荒れ狂う怒りをおさめようと必死に戦っていた。