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秘密
第7章 剥がれた仮面
ベッドに入ってくる夫への嫌悪感を堪え、沙織はむくむくと起き上がってくる怒りをなだめようとしていた。


「純子さんの話に付き合わされて、疲れたのかもしれないね」


余計な事を言う慎一郎。


「あなた…」

「ん?」

「純子さんのご主人、どうやら浮気してるらしいの」


沙織は少しずつ外堀を埋めながら夫を追い込んでいく。


「えっ?」

「間違いないらしいわ」


いかにも今聞いてきたような嘘をつき、沙織は蜘蛛の巣に引っ掛かった獲物に舌舐めずりをした。


「そう…、いろいろと大変なんだね」

「そうみたい。
彼女とても悩んで辛そうだったわ」

「なんでまた浮気なんか」

「さあ、こっちが聞きたいわよ。純子さんて、とても真面目な人なのよ」


夫は今、どんな顔をしているのだろうか…


「結婚生活長いんだっけ」

「15年位かな…」

「相手は?」

「それがわからないから、なおさら頭にきてるみたい」

「純子さんの思い違いだったりして」

「それは絶対ないわ」

「どうして?」


自らがんじがらめになっていく獲物を冷たく見つめ、更に手ずから銀の糸を巻き付けてとどめを刺しに掛かる。

ある種の興奮が躰を震わせた。


「ご主人の躰に、キスマークを見つけたって」





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