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秘密
第7章 剥がれた仮面
「私、知ってるのよ」

「何を」

「あなたの躰に付いたキスマーク」


沙織は起き上がり、夫の顔色も見ずに胸元に手を伸ばした。


「や、やめろ…」


慎一郎に手を払われ、沙織の中で何かが切れた。


「あ…あなたは誰に、なぜそれを赦しているの?」

「沙織…」


更に手を伸ばしてくる沙織を阻止しようと慎一郎が起き上がり、二人はベッドの上でお互いの腕を掴んで揉み合いになった。


「全部、全部うそ!
いったいいつから嘘をついてきたの?
私のどこが気に入らないの?…あなたは、あなたは優しいふりをして、いつもどこを見ていたの!」


「沙織、落ち着くんだ」


慎一郎に掴まれ両手の自由を失っても、噴き出した怒りはおさまらない。沙織は叫びながら自分の声に興奮し、更に怒りを増大させた。


「いったいどんな女にイカれてるの?
妻のいる男に手を出すなんて、…そ、それともあなたからなの?
まさか、その人結婚してる人?」

「静かにしろ沙織、母さんに聞こえる」

「ねぇ、いったい誰なの、どんな女なの?
その図々しい女は。
ひ、人の夫と楽しんで、わざわざキスマークを残すなんて最低よ!
こ、根性の曲がった頭の悪い性悪おん…」


バシッ…


「…ッ…」


「か、…か、彼女を、悪く言うな…」





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